ゴンパチゼリーの作り方

熊野では虎杖のことをゴンパチと呼びます。

ご存知の通り、虎杖にはレスベラロールなどの栄養成分が含まれており、強い抗酸化作用を持っています。食べ過ぎには注意しなければいけません。ゼリーにして冷やして美味しくいただきましょう。

レシピのご紹介

  • ①葉っぱがついているゴンパチを鋏でミキサーが回る大きさにザクザク切ります。
  • ②水(寒天一本に400cc目安)を加えペースト状に。
  • ③綺麗なフキンで濾すと、こんな緑色に。中身はポイ。
  • ④ぐつぐつと煮立てて丁寧に灰汁を取りましょう。そして更にフィルターで濾すと沈殿物が取り除けます。
  • ⑤後は寒天を作る要領で出来上がり!ゼラチンでもOK。グラニュー糖はお好みの分量で、50〜80gが目安です。

応用編

ゴンパチゼリーをベースにレアチーズケーキを作ると、ひと味違った楽しみ方ができますよ(^^)

太き薇ドレミファソ

蕨、薇、虎杖、蕗、筍などなど、3月下旬から5月頃まで、里山では山菜が採れる。

蕨はよく陽のあたる緩やかな斜面。薇も似たような場所にある。

虎杖(熊野ではゴンパチと呼ぶ)は、生える場所によって太さや色合いが異なる。

道路脇や河原などに生えてくる細くて葉のたくさんついた虎杖は、食用には向いていない。

「のら」の近辺で言うと、東向き斜面の石垣の下、特に角の三角地帯には立派な太い虎杖が生える。石垣の奥にすっと伸びる様は、まるで無社殿に鎮座する御神木のようである。

自称「ゴンパチニスト」の僕は、太く真っ直ぐに伸びた虎杖を目にすると採らずにはいられない。採った虎杖はとりあえず花瓶に差し入れる。虎杖がまるで生花のように我が家の台所を飾る。

ゴンパチニストのメニューを少し紹介しておこう。

写真左上から

①生けゴンパチ②雑魚と梅味噌和え刺身ゴンパチ③カレーゴンパチ④ひら天きんぴらゴンパチ⑤ゴンパチジャム⑥ゴンパチーノ⑦巻き寿司ゴンパチ⑧メンマゴンパチ

おやつに、かりんとうゴンパチ

そして、夏にぴったりゴンパチゼリー

(レシピはまた紹介します)

あまり知られてはいないが、熊野地域ではオニヒカゲワラビやシオデという山菜も採れる。どちらもアク抜きをする必要はなく、採ったその日に簡単に食べられるのが嬉しい。

オニヒカゲワラビ

蕨の約3倍の大きさで、毛が生えており、なかなかグロテスクな様相をしている。

洗って毛を落とし(この毛が残っていると後味が悪い)茹でてよし、炒めてよし、粘り気が旨味を引き出す。

シオデ

草むらからウナギが飛び出してきたかのように見え一瞬ドキッとする。

先端は龍の髭のように伸び、木の枝を捕まえぐんぐん伸びる。ゴムのように柔らかく、決して美味しそうには見えない。

しかし、これが絶品なのである。

高級なアスパラガスのようで(高級なアスパラガスを食べたことはないけど…)サクッと茹でれば綺麗な緑になり、龍の髭も気にすることなく食べられる。

妙な姿といえば、薇もそうだろう。

綿に包まれ、くるりと巻いた姿が薇だと知っているから美味しそうに見えるが、全く知らなければ食べようとは思わないだろう。

「のら」の庭先には立派な薇が生えている。長けると1メートルほどになる。今年は薇がたくさん採れて嬉しくて、採った薇を音符のように並べ「庭先の太き薇ドレミファソ」と俳句を詠み、炊いて食べたのだが、どうやらその中にナチシダが混じっていたようで、僕らは二人揃ってお腹を下した。

今年の薇は毛深いやつがあるなぁ…と思いながら綿を取っていたのだが、まさかナチシダだったとは思いもよらなかった。毒のあるよく似た植物はすぐ近くに生えることを改めて気がついた。

そして、我が家の食卓を潤したのが筍である。次々に姿を現す筍を掘り起こすのは楽しいらしく、妻は毎朝のように竹林へ出かけ採ってきた。その場で皮を剥き、持ち帰ってすぐ湯がく。日を浴びでいないのでアクはほとんど感じられない。

筍ご飯に、味噌汁に、わかめと炊いたり、春巻きにしたり、佃煮も多量に仕込み、余った筍は砂糖をまぶして冷凍保存。

山菜は我が家の家計を助け、僕らの腸内環境を整えてくれた。

山菜バンザイ!

ミモザ行幸

ミモザ行幸

先日、妻はあるところからたくさんのミモザをいただいてきた。

動物園のコアラのためにユウカリを育てている農園にミモザの大木が5、6本あって、農園のご主人から「花が咲いてきたよ〜、好きなだけ持って行かんしよー」と、ありがたいお誘いを受け、高枝切鋏を持参して採りに行ったらしい。

雲ひとつない空を泡のように揺れるミモザの黄色い花は、なんとも可愛らしかったそうである。

うちにもミモザの木はある。

最初に購入した170センチほどのミモザの木は地植えした途端にモイさんに倒され、すっかり食べられてしまった。

次はそうはいかぬぞ!とモイさんに倒されないように括り付け育てたミモザは、今年ようやく花をつけ始めた。が、まだ枝を切り分けるほど立派ではない。

車いっぱいに黄色い花を積んだ妻は、嬉しくなって、そのままいろんな人のへお裾分けに行ったそうだ。そして、たくさんの笑顔のお返しをいただいてきた。

僕の職場に持ってきてくれたミモザは、みんなでワイワイ言いながら切り分けて、職員で持ち帰った。とある事業所を訪問すると玄関にミモザが飾られてあり「奥さんからいただきました」と喜ばれ、車ですれ違いざまに「ミモザいただいたよ」と挨拶され、ある人は「ミモザをいただいた」とSNSにアップし、中には「ちょっと待っててよ」と畑の野菜をくれた方もいる。

ご近所の一人暮らしのお年寄りにも届けたそうだ。「まあ、おおきによ」と喜ばれている顔が目に浮かぶ。

なんとも嬉しい行幸である。

山羊もミモザは大好きだ。

ミモザのリースはモイさんのどどかぬ所へ飾らなければ、気を許せば全てムシャムシャ食べられてしまう。昨年作ったヘクソカズラのリースはすっかりやられてしまった。

黄色い花と白い山羊のコントラストは可愛いけど、勘弁してね。

モイモイ

アンプロフェッショナルの流儀

ガトーショコラ マイヤーレモンソース和え

アンプロフェッショナルの流儀

NHK総合テレビ放送の「プロフェッショナル 仕事の流儀」という番組が好きだ。

紹介された校正者の大西寿男さんや、脳神経外科医の谷川緑野さんなど、覚悟を持って我が道を進む、無骨で真っ直ぐな生き方に憧れる。学んできたことを存分に活かし、その知識や技術が求められているから仕事として成立する。仕事に使命感を感じ、迷いなく、何度もつまづきながらも立ち上がり、ボロボロになりながら進んでいる。いくつもの小さな山を越え頂に立つ冒険家のようである。

僕には到底真似できない。

僕は「くまの里山体験のら」のおやつ係である。(冬にはテントサウナの釜爺も兼ねているが…)独学で覚え作ったスイーツを蒸留体験の合間にお出しする。

ご近所や知人からいただいた果実や家の庭先に生えてきた野草を原材料にスイーツを作っている。

来週のゲストはどんな人かな…?柑橘系は好きかな…?冷たいスイーツは大丈夫かな…?

などと、考えながら毎回仕込んでいる。

試行錯誤をし、何度も失敗を繰り返す。

⚠︎Instagramで「#妻は試食係」と検索していただければ、その経過がご覧いただけます。

「うわー!すごい!」「かわいい」「おいしい」と喜んでもらえることが嬉しくてたまらない。次はどんなスイーツにチャレンジしようかな?と創作意欲が止まらない。

こんなことを突き詰めていれば、いずれはプロフェッショナルになれるのだろうが、おやつはあくまでもおまけ、「くまの里山体験のら」が提供するメインは蒸留体験である。

僕には、おまけぐらいがちょうどいい。

アンプロフェッショナルとは、妻にダメ出しをされボロボロになりながらもめげずに楽しもうとすることである。

happy valentine.

ドクダミシフォン

ゴンパチゼリー

オニグルミクッキー

うめシソボール

桑の実パイ

レアチーズケーキ

かぼちゃプリン

苺のタルト

モイ臭

山羊の匂いというと、動物園の匂いを連想する人も多いかもしれない。雄の山羊は体臭がきついそうだが、うちのモイさんは雌なのでほとんど臭わない。

ここで言う臭わないは「臭くない」と言う意味であるが、嫌な匂いは全くしない。
尾をピンと上げ、ところ構わずコロコロとうんちをする。草ばかり食べる山羊のフンは無臭である。小豆より一回り大きなモイさんのフンは拾い集めて土に混ぜ、花壇や梅林の肥料にしている。(乾燥させたら着火剤になるかなと、やってみたけどダメだった)

しかし、モイさんから体臭が放たれる日がある。長く続く雨の日だ。
少し雨に濡れたその体からは、なんとも形容し難い獣の匂いがする。決して嫌な匂いではないのだが、いい匂いでもない。

モイさんの山羊小屋は僕らがくつろぐリビングのすぐ隣のテラスにある。僕らがテレビを観たり本を読んだり、パソコンを開いたりしている姿を、モイさんはガラス一枚隔てて済ました顔で見ている。

山羊は雨に濡れるのを嫌うので、雨の日にはその小屋から動こうとせず、ネクストバッターボックスの4番打者がピッチャーを観察するかのように、くちゃくちゃ口を動かしながら僕らを観察している。
隙あれば、ツノで戸を開けリビングに入ってくるつもりである。ある日、いつの間にか戸を開けて入ってきたモイさんが、猫と並んで座りテレビを眺めていたことがある。

匂いに話を戻そう。
雨が続く3日目くらいからは、ガラスの向こうから、その獣臭がフワッと漂ってくることがある。

僕らはこの匂いを「モイ臭」と呼んでいる。決して嫌な匂いではないが、深呼吸して味わいたい香りでもない。それは、「もう仕方がないなぁ」と諦めるような愛しさを感じる匂いである。
これを読んでくれているあなたが、もし彼女と会う機会があれば、モイ臭がどんなものか、ぜひ感じて欲しい。
「モイ臭を聞く」も、のらのプログラムに加えておこう。(^^)
モイモイ

香りを聞く

目に見えぬものを言葉で表現するのは難しい。香りもそのひとつ。

のらの芳香蒸留水を作る体験を提供する時に「本日の香りは〇〇」と黒板に書く。

例えばレモングラス。

「レモンのような爽やかな香り」

なんて紹介をする。

うん、これは搾ったレモンの爽やかさが想像できるから伝えやすい。

しかし、もしレモンを知らない人がいればどう表現するか。

アオモジはどうだろう?

アオモジはレモングラス同様に仄かに柑橘系の香りがする。しかし、明らかにレモンではない。メントスのグレープ味のような感じだ。やはり、つい他のものと置き換えて表現してしまう…。

“不確かな夢を拾い合わせながら冷えた卵をフライパンの角で割った瞬間のような冷たさを感じる香り。”

うーん、訳がわからない。

では、南高梅はどうか?

「梅」と聞けば、多くの人は酸っぱい梅干しを想像するだろう。もし、手元に赤紫蘇でつけた梅干しがあったら匂いを嗅いでほしい。その匂いは実は赤紫蘇の匂いで、本来の梅の匂いではない。

南高梅の「香り」は、全く別物。熟してポツポツと落ちてくる梅林で作業をしていれば、その香りにどれほど幸せな気持ちになれるだろう。これを言葉で伝えることはとても難しい。

「甘い香り…」どのように甘いの…?

「まるで桃のような…」本当に似ている…?

「心が満たされるような…」むむむ…?

僕たちは何種類もの芳香蒸留水を作って、テントサウナのロウリュとして香りを楽しむ。

香道では香りは「聞く」と云うそうだ。日本語は何と美しいんだろう。

香りを楽しむ一番いい方法は、このロウリュではないだろうか?

熱したサウナストーンにかけて立ち上る蒸気の香りを楽しむ。ジュワー…バチバチバチ…

フワフワフワ…。

香りは鼻腔から脳内を巡り体の中でその成分が分解される。これが、香りを「聞く」とことなのかもしれない。

香りは活字では表現するのは難しいわけである。

などと、くちゃくちゃ理屈をこねながら今日も釜に向かう。のらの釜爺。

モイモイ

ほんの小さな出来事

元日に大烏帽子山で餅を焼いてぜんざいを食べたのが、つい昨日のように思えるあっという間の一年だった。「もう四月、えっもう八月、明日から十二月やね。早いね〜」と妻と何度話したことだろう。

花が咲く梅林でお弁当を食べたり、山菜を摘んだり

昨年に引き続き梅を買ってくれた人と交流を深めたり、ドクダミのシフォンケーキが上手に焼けたり、家出したタンゴくんが、二階の窓から帰ってきたり

モイさんにTシャツの袖を引っ張られたり、口づけの距離で見つめられたり、妻の笑顔のいい写真が撮れたり。

そんな小さな出来事が積み重なった一年だった。求めるものは日常の小さな幸せ。来年もそれでいい。

どなた様も幸多き年でありますように。

ありがとうございました。

モイモイ

香りは記憶の扉

不思議な夢

僕は、おかしな夢をよく見る。今でもよく覚えている夢の一つに次のようなものがある。自分の頭部が雨粒のように蓮の葉に転がり落ちる。落ちたと思うとまた別の蓮の葉の上に居て、そしてまた転がり落ちる。次の葉、その次の葉へと限りなく転がり落ちてゆく。夢は自分が体験したことや見聞きしたことを題材に見る。など聞いたことがあるが、蓮の葉を転がる体験はしたことがない。昨夜は、キヨスミイトゴケを生やした猫のいる大学にいる夢を見た。そんな奇抜で奇妙な夢は、ぼんやりと朝食に淹れる珈琲の香りと引き換えに僕の記憶から消え失せていく。

ロアンヌ

朝食の珈琲の香りとともに10代の記憶が蘇る。僕はその頃、大阪南森町にある「ロアンヌ」という名前の小さな喫茶店でアルバイトをしていた。早朝に家を出て、毎朝7時からカウンターの中で働いていた。40代のマスターとアルバイト二人で切り盛りする小さなお店だった。「ロアンヌ」という名前の由来をお客さんに聞かれたマスターは、昔の付き合っていた女性の名前だと嘘めいていたけど本当は、アラン・ドロンが好きで、アラン・ドロンが登場する陰影の濃いフランス映画の舞台になったフランス中部の町の名前「ロアンヌ」から名付けたらしい。

 そのフランスかぶれの昭和な小さな喫茶店には、大きな窓があった。僕は毎朝、寝ぼけ眼でカウンターに立ち、マスターが挽く珈琲の香りと共に、その大きな窓から忙しそうに行き交う大人達を眺めていた。その当時、南森町にはテレビ局やラジオの収録スタジオ、広告代理店などの会社がいくつも集まっており、いわゆる背広にネクタイといった典型的なサラリーマンとは違った少しラフで、かつインテリジェンスな大人たちで賑わっていたように記憶する。(コピーライターの中島らもさんは、いつもスタジオの床にベタッと座り、タバコを黙々ふかしながら原稿を書いていた)

「のら」の窓

「くまの里山体験のら」にも大きな窓がある。その窓からは里山の風景が見える。山羊のモイさんが草を食み反芻しながら雲を眺めている姿が見える。

「のら」はつもいい香りがする。季節ごとの植物や果実の香りを蒸留しているので、とても良い香りに満ちているのだ。たとえば、あと数十年後、この里山の風景を思い出すのはどんな香りだろうか?爽やかなレモングラス?焼いたシフォンケーキの甘い香り?それとも雨の日のモイさんの獣臭…?

 旅する人が、ここを訪れ、香りと共にこの景色を楽しみ、そして、香りと共にこの体験を思い出してくれたら、「のら」の香りが、人生の記憶の一部になってくれたら、それは素敵なことだなと思う。

香りは記憶の扉となって、いつでもこの里山に戻ってくることができると僕は願う。モイモイ。

火曜日はカレー曜日♪

和歌山県古座にある「南紀くまのいえ」へ行って来ました。ここはゲストハウスなのですが、毎週火曜日、本格的なスパイスカレー&カフェがオープンします。

本日のカレーは、A.秋の野菜カレー、B.くまのいえビーフカレー、C.本日のスペシャルカレーでした。いつもどれにしようか悩む私は2種盛りをチョイス!あれこれ食べてみたい人は3種盛りもできます。秋の野菜カレーは、ネパール風で根菜がたくさん入っていました。定番の「くまのいえカレー」はビーフとチキンを選べます。今日のスペシャルカレーはバターチキンでした。キノコやレンコンなどの秋野菜がたっぷり入っているのが嬉しい!

辛いカレーが苦手な私は完食できるか心配だったのですが、優しい辛さとスパイシーな香りにスパイスカレーのイメージが変わりました!またオーナーである平松さんの気さくで温かいお人柄に、ついつい長居をしてしまいます。

実は、先月オープンした「くまの里山体験のら」のホームページを作ってくださったのもグラフィックデザイナーでもある平松さんです。新しくホームページを作りたいと、ご相談をしたところ「ホームページは財産ですから」という平松さんの言葉に心を打たれました。約5ヶ月間、古座から浅里まで何度も足を運んでいただき、何度も話し合いを重ねて完成しました。パソコンが得意でない私たちですが、これから少しずつ日々の出来事を綴っていきます。そしてホームページは完成しましたが、これからも火曜日にはカレーを食べに行きたいと思います♪